アキレス腱炎を早く治すために知っておきたいこと

2018年7月22日

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ふくらはぎからアキレス腱にかけての痛みはランニングをしている人に多く見られるランニング障害です。ランニング においても、どちらかと言うとスピード系のランナーに見られる障害です。特に学生でスピード系のトレーニンングをバンバンやっている選手がよくなります。また、ゆっくりランナーでも中高年の方は痛めやすい障害です。一度なると治癒まで長く掛かりやすい傾向にあるので、早め早めの対策が必要でしょう。

アキレス腱炎とは

「アキレス腱炎」とか「アキレス腱周囲炎」などと呼ばれる事があります。アキレス腱はふくらはぎの下部にあり、ふくらはぎにある腓腹筋・ヒラメ筋といった筋肉とかかとの骨とを結ぶ非常に太く長い腱です。アキレス腱はふくらはぎの筋肉の収縮を足のかかとに伝え、足関節の底屈(つま先を下げる)運動を行う役割をしています。背伸びをする様な動作や、歩く・走る際の蹴り動作において負荷がかかります。アキレス腱自体の障害を「アキレス腱炎」と呼び、アキレス腱を覆い腱の滑りをよくしたり、腱への栄養を供給する組織であるパラテノンの障害を「アキレス腱周囲炎」と呼びます。両者は同時に損傷することが多く、またどちらの損傷か明確に区別しにくいことや、原因・治療法なども同一であることから、特に区別せず同じ扱いで述べられることもあります。

アキレス腱炎の症状

アキレス腱に腫脹が見られます。痛くない方のアキレス腱と比べて腱が太く肥厚します。ひどいと熱感や発赤が見られます。初期の段階では走れないことはありませんが、運動終了時や朝の起きがけ時に痛みが現れます。ひどくなると安静時にも痛みを感じます。アキレス腱を伸ばす足関節の背屈動作をすると痛みが増強します。一方、底屈時に痛みが増強するようだと『距骨後部圧迫症候群』の可能性が強いので、底屈時か背屈時か、どちら方向で痛みが増強するかで鑑別できます。またかかとの痛みとして訴えるものでもアキレス腱の炎症によるものももあります。

アキレス腱炎の原因

ランニングや跳躍時、はくらはぎの筋肉が収縮するとアキレス腱にテンションがかかり、かかとの骨を引き上げます。そのアキレス腱にかかる負荷(ストレス)の蓄積によりアキレス腱に微細な傷、損傷が発生し、炎症を起こすことによってアキレス腱炎・アキレス腱周囲炎が発症します。オーバーユース(使い過ぎ)によるアキレス腱への疲労蓄積が主な原因です。単回の強い負荷により、アキレス腱がその力に耐えきれずに損傷する場合は、『アキレス腱断裂』になることが多いです。

いずれにしても走行時にアキレス腱炎が発症する場合はふくらはぎの筋肉で蹴り過ぎて、腱が張力に耐えきれずに損傷を起こすので、走る動作を根本的に見直す必要があります。同じ練習で発症する人としない人がいるのは、やはりフォームの違いによ
る所が大きいでしょう。

  • オーバーユース(アキレス腱への負荷の蓄積)
  • ふくらはぎの筋肉の緊張(ふくらはぎの筋肉の蹴りに頼り過ぎる)
  • 走行フォーム(接地時に踵と下腿の角度や足の接地位置、蹴りのサイクルなど)
  • 足の指が上がる(歩行時・走行時の癖、急な登り坂、ハイヒール、サンダル)
  • 加齢によるアキレス腱の変性(アキレス腱の脆弱化)
  • 足関節の動きの悪化(変形性関節症、捻挫の後遺症)
  • 堅い路面
  • かかとのすり減った靴
  • 足底のアーチが高い


アキレス腱炎の治療

アキレス腱が痛くない方と比べて明らかに太く肥厚しているようなら炎症がかなり強い状態です。この状態では患部への刺激やストレッチは逆効果ですのでまず炎症を鎮静させることに主眼を置きます。無理をせず運動を中止し安静にすることが大切です。故障したらとにかくストレッチと言う人が居ますがアキレス腱を伸ばすストレッチは絶対に止めてください。逆にアキレス腱が伸びないように、さらに足関節の動きを制御するようにテーピングで固定することも有効です。

約2週の安静は必要ではないでしょうか。競技をしていると長く休むことが出来ないと訴える人も多いですが、このアキレス腱炎は本当にしつこく長引くものです。アキレス腱炎で競技人生を終わらせる選手も多くいます。よって中途半端に誤魔化しながら走るよりは、安静、固定をしてアキレス腱を休ませる方が結果的には早く競技を再開出来るでしょう。

傷んだアキレス腱の肥厚状態や炎症は安静により抑え、炎症が治まったら治療を加えていきます。この段階であれば軽く走っても可能でしょう。その判断は専門家に託すのがいいでしょう。

アキレス腱への張力が強く掛かり過ぎるのを予防するため、ふくらはぎの筋肉をゆるめて柔軟性をつけていきます。基本的にはマッサージや鍼、電療などがあります。自分にあったものでいいと思います。またふくらはぎだけではなくハムストリングや殿部、腰部、背部と全体的に体の後ろ側をほぐすことが必要です。臀部やハムソトリングの筋緊張によりその部分がうまく使えずにふくらはぎに負担が必要以上に掛かることはよくあります。また、全ての全身の筋肉は筋膜で繋がっていますので一部の筋肉の歪みが原因でどこか局所に負荷が強く掛かることもあります。局所的に治療するのではなく全体的に治療してくれる治療院を選びましょう。

また、足関節の動きも重要になってきます。関節の動きが悪いと運動時により強い負荷が掛かることがありますので、関節の動きをスムーズにすることが必要です。これはなかなか難しい手技ですので、専門的に出来る施術者を何とか探してみましょう。まずはスポーツ選手向けの治療院に行ってみるのがいいでしょう。

あとはフォームの見直しが必要でしょう。そのままのフォームで何も変えなければ当然、またアキレス腱炎を再発するでしょう。ふくらはぎに強い負荷が掛かる走り方を改善する必要があります。フォームに付いては次に述べてい
きたいと思います。

アキレス腱炎から運動の再開へ向けて

日々のケア

これはアキレス腱炎のみに言えることではありませんが、競技をする上でやはり日々のケアと休養は練習と同じくらい大切です。運動は栄養と休養があってこそパフォーマンスが上がるものです。ふくらはぎ、ハムソトリング、殿部の筋肉の柔軟性を維持するようマッサージや鍼などをすると良いです。ふくらはぎのマッサージであれば自分でセルフマッサージが出来るでしょう。膝の裏も固まっていることがありますので、膝の裏をほぐすことも忘れずに。あとは自分の手で足首をグルグル回したり上、下に曲げてあげたりして足関節の可動域をつけていきます。

ランニンング環境の改善

痛みから復帰したばかりの時期には登り坂をなるべく避けてましょう。固い路面も避け、土の上を走るのが良いでしょう。またシューズを見直しましょう。痛みがある状態では堅いソールや靴底が薄いものは避けます。すり減ったシューズであれば新しいものに交換しましょう。かかとを高くすることでアキレス腱への緊張が緩和されます(逆に高過ぎるとアキレス腱は緊張するので注意)。痛みが無くなったら無理にかかとの高い靴である必要は無いでしょう。それよりもフォームの見直しが重要です。

ランニンングフォームの改善

足の接地時間の短縮

接地時間が長いとより筋肉に負担がかかる走りになりがちです。接地時間を短くし、筋肉ではなく腱の反射を利用すると筋肉への負担は減ります。

足の接地位置の調整

足の接地位置はなるべく重心の真下か真下より10数センチ前側に着地するのがいいです。そうすると接地時間の短縮になります。また足が着いた時に地面から受ける反力をロスなく受けることが出来ます。強く蹴ることなく前へ進むことが出来ます。

蹴り過ぎない

スピードを上げるためには蹴らなければ前へ進みません。当然です。でもそこまで蹴る必要があるのか?速いランナーほど蹴らないで進みます。アフリカのランナーや日本人でもトップ選手のふくらはぎはとても細いです。あの細さはつまり筋肉を多く使う必要がないのではないでしょうか。ふくらはぎの筋肉を使って足を底屈させるのではなく、バネを使っているのです。筋-腱反射ってやつで随意筋を使うことなく足を着いた時の反射で足を底屈させるのです。さらに着いた時の地面からの反力で前(上)へ進むのです。この辺は直ぐに出来るものではありませんので、まずは蹴らない意識と地面からの反力で進むイメージを持つことです。

反力を受けたら足を後方へ流し過ぎず直ぐにたたみます。後方へ足が残れば残るほどそれを中心まで引きつけるのに力を使うので接地後はすみやかに脚をたたみ(足をおしりに引き寄せる)大腿部を前に出します。地面を蹴るよりも、ももを上げる方に主眼を置いて下さい。

足関節の角度

オーバープロネーションとかアンダープロネーションと呼ばれるやつです。イメージしやすく言うとオーバープロネーションは接地時に足首が内側に入り、逆にアンダープロネーションは外側に出ることです。そのような角度が付くとアキレス腱の外側もしくは内側に強い負荷が掛かりアキレス腱炎になりやすくなります。接地時に足首が内や外に偏移することを直します。これについてはかかと着地からよりフラット着地か前足着地にすると矯正されるはずです。その方が接地時間が短くなるため、足首のブレはより少なくなります。アンダープロネーション、オーバープロネーションの矯正によりアキレス腱への負担を減らしていきましょう。

アキレス腱炎は本当に辛い症状のある障害です。一日も早く快適に走れるようになる様、参考になれば幸いです。